発達障害の子どもの居場所に悩んでいませんか?
発達障害の子どもの進路決定をするとき、毎回本当に悩みますね。
不安が強くて友達とのトラブルが心配・・・
体育館が苦手で、パニック経験がある
実はプールは参加しなかったけど、進学したらどうなるかな?
進路を決める時に、学校見学や体験を行いますね。
学校の見学開始時には、どんなところを見学したらいいかもわからず、後になってから「あの時、聞いておけばよかった」と思う事もよくあります。
中学校で、特別支援学校、特別支援学級(知的や情緒)の見学と体験に行った著者から見えた、学校見学のチェックポイントをお伝えしますね。
学校によって特色や支援内容は異なってくると思いますので、情報収集時の参考として使っていただければと思います。
学校の情報を集めて、子どもの意見を聞きながら、進路を決めていきましょう!
特別支援学校はこんなところ
特別支援学校の学習の目的は、生徒に応じた自立と社会参加を目指しています。
地元の学校には3つの学級、普通学級、自閉症学級、重度・重複学級がありました。
生活力の獲得や自立が大きな目的になり、特別支援学級とはカリキュラムが異っています。
ここでは普通学級で見学したことを書いています。
学習内容
算数、国語は、グループ学習では、小学校一年生くらいのレベルの課題が多いらしいです。
個別学習の時間に子どもの学習レベルにあわせたプリントで学習をしていました。
地元の特別支援学校は、算数、理科はなく、職業、作業学習の時間があり、ここが特別支援級とは異なる点になります。
小人数グループでの学習が基本ですが、必要なクラスには支援員が付き、きめ細かい対応が可能となります。
体育は10人程度で、一斉に授業を行い、複数の先生が必要な子どもに補助として参加されていました。
生徒層
地元では、普通科、自閉症、重度重複と3つの学級がありますが、ここでは普通科について記載します。
見学した普通科は、知的に中等度の子どもが多く、知的に軽度でも、生活自立度が低かったり、特性がつよく個別対応が必要な子どもがいるようでした。
その他
交通手段として、スクールバスがあり、自分で通える子は市バスなど利用して自分で通っています。
授業内容も週のカリキュラムがほぼ決まっていて、イレギュラーが少なく、変化が苦手な子どもにも安心しやすいように組まれています。
特別支援学級には知的と情緒の2種類ある
特別支援学級は知的と情緒の2種類があり、情緒の特別支援学級については、こちらの記事をご参照くださいね。
自閉症・情緒障害特別支援学級ってどんなところ?学校見学ポイントはこれです!
特別支援学級(知的)
生徒層
おおむねIQ70未満の子どもが主な入級の対象になります。
いろいろな事情からIQ正常域の子も入級しており、知的の支援級でも、中学レベルの勉強をしている場合もあります。
学習内容
生活していくうえで必要な算数、国語を、星本や教材からぬきだして提供しており、難易度はだいたい小学3年生レベルまでになる様子です。
それ以上の難易度でも、生活に必要と判断されれば、取り組んでいました。
星本とよばれる教科書を利用したり、漢字検定、算数検定を利用しながら学習をすすめている所もありました。
教科書準拠というより、いろいろな所から、生きていくために必要な、国語、算数課題を先生方がプリントに作り、学習していました。
中学レベルの勉強が可能な子どもは、中学生の該当学年の勉強をしている子どももいました。
学習レベルの個別対応をしてくれるかは、学校に確認が必要です。
学校によっては、個別対応で子ども個人のレベルにあったプリント教材をだしてくれるところもありますが、小集団で同じ内容をおこなう場合が多いようです。
知的のみのクラスだと、小集団での学習を大切にして、個別対応が難しいケースが多いように感じました。
教科にさく授業のコマ数も、学校によって異なっており、家庭科や生活自立がほとんどない学校と、一日1コマはあって充実しているところもありました。
テストは、同じ範囲でも、子どもが理解できるレベルが異なってくるので、個人によって変えているとのことです。
地元の情緒級と比較して、行事が多いです。
ほぼ毎月行事があり、校外学習、体育祭、楽器や踊りなどの舞台など、行事体験から学びを得ようとしていました。
教科の担当者
中学校になると、専科の先生に授業をお願いするケースが増えます。
こんなパターンがありました。
・支援級の教員一人が、3教科くらい教え、支援級教員でほとんどすべての科目を教える
・国語、算数、以外は専科の先生に教科を担当してもらう
学習の積み重ねが必要な国語と算数は、習熟度によってグループ分けして、小集団で学習していました。支援級の先生が教科の担当される場合が多いようです。
英語、社会、理科は専科の先生になり、体育は支援級全体で実施するパターンが多いようです
きめ細かい配慮が必要な子は、支援級教員でほとんどすべての教科を教えてもらえるほうが安心かもしれませんね。
専科の先生も、知的学級であれば、そこにあわせて内容をつくりかえてくださっているとのことでした。
しかし体験の時に見た専科の先生が作成したスライドには、通常級レベルの難しい漢字も並んでおり、やはり支援級の学習レベルを把握する事はむずかしいのかなとも思いました。
その他
小集団のクラスになにかの事情で入れなくなると、空き部屋(クールダウン部屋)で一人で待ち、先生が時々様子を見に来る体制になるようです。
本人が参加できる状態になったら、クラスに入るそうです。
情緒級と比べると行事が多めで、私の地元では毎月、校外学習や色々と行事があります。
イレギュラーが苦手な子にはつらいカリキュラムもあるかもしれません。
通学は、徒歩の子が多いのですが、遠方の子はバス、電車を利用して自分で通っています。
小学校の支援級では、区域外からの通学だと、登下校に大人の付き添いが必須な地域もありますが、中学校では、登下校に親の付き添いは不要でした。
遅刻早退も、あらかじめ想定されているものであれば、大人のつきそいが必要なくなります。
特別支援学級(情緒)
生徒層
地元の情緒級は、主に知的に正常域(IQ70以上)で、自閉スペクトラム症やADHDのように、発達の特性がある子どもが所属しています。
クラスメイトは、多くの場合、知的に境界から正常域で発達障害の子どもが多くなります。
通常級でほとんど過ごす子と、支援級で一日過ごすこと、居場所も個人にあわせて設定されます。
色々な事情から、IQ70未満の子どもも所属しています。
学習内容
学習レベルはばらつき、小学校3、4年レベルから学んでいる子~所属する学年の勉強をしている子と様々です。
国語、算数は支援級の先生、その他は専科に先生におしえてもらうケースが多いようです。
学習障害のある子もいるので、テストは同じ範囲でも、子どもによって内容を変えて提供しています。
交流級でほぼ一日すごす子もおり、過ごし方は様々です。交流級に行く子は、一人で授業参加できる子のみになります。
通常級にはない、自立活動という時間が設定されており、この時間を通して社会性をみにつける時間としています。
見学した学校では、自己理解を深めるための時間として使っていました
個別対応が必要な子どもがおおいためか、学習や行事でも個別対応をできるように、工夫してもらえる事が多そうです。
教科の担当者
基本的には、先生一人に4名程度の少集団で、学年または学習の進度に合わせてグループ分けし、一斉授業を実施しています
地元では音楽や理科、社会は講師、その他は支援級の先生が担当していました。
個別対応もしており、クラスに入って勉強できない子のために、e-board(映像授業・デジタルドリルをPCで提供する教材)を利用して、一人で学習をすすめ、支援の先生が時々まわってきては、手助けをしているケースもありました。
それまでに不登校を経験している子も少なからずいるので、午後から登校する子、クラブ活動だけは登校する子どもと、学校への参加のしかたも様々でした。
その他
刺激が欲しい子のために、椅子もバルーンに座って学習している子もいました。
情緒級に関しては、年度途中からの入級を受け入れないところもあります。
年度初めしか入級できない場合があるので、確認が必要です。
受験をするときに、内申が重要になりますね。
内申に関しては、通常級と同じようにはつけることができない学校と、
受験も考慮して、通常級と同じ項目をいれて作成してくれる所と
分かれているようです。
将来の受験時に影響があるので、学校に確認が必要ですね。
その他 共通して確認したいこと
通学手段と道
支援級に行くために、バスや電車を利用するケースもでてきますね。
乗り物の混雑や、乗り物の利用自体がつらい子もいるので、実際の通学時間に乗車して、混雑の程度を確認しましょう。
通学が負担で、学校に行けなくなる子もいます。
通路のにおいや安全も確認します。季節になるとイチョウの銀杏や、キンモクセイのにおいが辛い子もいますよ。
生徒の雰囲気と学習レベル
知的の支援級でも、実は知的でない子が複数入級していたり、逆に、知的は対象としていない情緒級でも、実際には知的の子どもが入級しているケースはよくあります。
複数いる場合は、その子達のレベルにあわせて、グループが作られ、学習のカリキュラムもつくられます。
友達の存在が、学校生活の安心や充実にも影響してくるので、友達としてかかわっていけそうな雰囲気の子がいるかもみていくといいですよ。
支援級は、体育など先輩達と授業する機会も多いですね。
不安の強い子は、大きな声でさわぐメンバーが苦手で、クラスが怖くなったりするので、どんな雰囲気の子が多いか確認しておきます。
先生にどんなタイプの子が多いか聞いてみるのもいいですね。
制服の着用
触覚過敏の強い子は、男子の「詰襟」の制服はきびしいですね。
毎日着るか不安に思う場合、体操服での通学許可はでやすいので、服装の確認もしておきましょう。
行事の配慮
体育祭の場合、交流級と一緒に動く場面が多い学校だと、こまかい配慮は難しく、参加しないという選択もありそうでした。
競技の参加が難しい場合は、道具の片づけなどで参加するという方法もありました。
どんな風に参加できそうかも聞いておきます。
どんな支援をしてもらえそうか
見学で先生と話をする時間をいただけるので、自分の子どもの特性と、どんな対応をしてもらえるか聞いてみましょう。
小学校で参加していなかった授業がある場合、どうしたらいいかなど、後で電話で問い合わせする事もできますよ。
不安な気持ちで入級を迎えるより、ある程度支援のめどがついた状態で入学できる方が親子で安心できますよ。
進路決定で考える事
すべて見学を終えて、「ここがいい」と思えるところに出会えるとよいのですが、一長一短で、「どこも大丈夫と思えない」事もあります。
そんな時に下記を考えてみてください。
・子どもが安心して、成長できる環境か
・将来、仕事をするところから逆算して、必要な能力を身に着ける事ができるか
・子どもは、よいと感じている学校はどれか
一般の会社で合理的配慮の得られにくい一般雇用になるか、手帳をとって障害者雇用の枠で企業に就職するか、就労継続支援A型B型で就職になりそうかをイメージして、そこから居場所を逆算してみましょう。
「将来のことまで、まだ見えない」が本音かもしれませんが、ある程度イメージをつけて、そのためにどこで勉強していくことがいいか考えます。
就労する前に高校で勉強する場合がほとんどと思います。
軽度知的の子どもであれば、高校になると、特別支援学校(普通科)、特別支援学校(就業技術科)、通信制高校、チャレンジ校など選択肢は意外とあるものです。
仕事の場所、その手前の高校の居場所がどこになりそうか、考えた上で、今どこで勉強するとつながるかを考えてみましょう。
学習が難しすぎる、周りとのコミュニケーションがうまくとれない、いろいろな理由から中学生活でつまづき、学校に行きたくない場面もあると思います。
子どもが安心できるところが、失敗しても立ち直れて、新しい事にチャレンジでき、成長できる場所でしょう。
つまづいた時に、親や先生から無理にすすめられた場所で、「本当はいやだったんだ」と思っていた場合、この先頑張っていこうと思うのは難しいかもしれません。
本人が納得して選んだ場所であれば、なんとか気持ちをやりくりして、自分の判断を肯定的にとらえようと頑張る力も働くでしょう。
明らかに不向きと思われる学校を選択しようとした場合は、学校の情報を、親の感情や判断を交えないで、できるだけ正確につたえていくことは必要です。
その上で本人と相談していくとよいと思います。
悩んで決めたら、あとは「きっと、なんとかなる」と思っていきましょう。
親の不安は、子どもの不安を誘います。
うまくいかなければ、またその時考えればよい事として、新しい場所で子どもは成長できると信じて準備していきましょう。
悩ましい進路、子どもが悩んで考え、その中で自分で決める事が成長するチャンスととらえ、その助けになるように情報を集めて、一緒に決めていきましょう!
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